青薔薇に愛を込めて
次に瞼を持ち上げると、世界はモノクロだった。
見えるもの全てから色がなくなり、何もかもが億劫になった。
隣にいるリツィリアさんが私を見上げて何かを言いかけようとしたけれど、それを遮る。
「私は、何をしたらいいですか。お望みなら今すぐにこの国から出ていきますよ」
真っ直ぐにミリテスを見据えて告げれば、横からリツィリアさんの責めるような堅い声が飛んでくる。
「君は渡人だ。保護するのが僕たちの義務なのに、そんなことができる訳ないだろう」
「そうですか。まあ何にせよ、好きにしてくれて構いませんよ」
投げやりに答えて深く息を吐き出す。
ああ、面倒。
そんな私の態度に思うところがあったのか、一瞬の間、険しい表情で口を開き、思いとどまるようにそれを閉じてしまった。