青薔薇に愛を込めて














―――――どうしてこんなことになってしまったのだろう。

なんでこんなところにいるのだろう。


どうして、なんで?



そればかりが頭を巡る。

けれど考えても答えがでないのは明白で、私の心は切り裂かれ血を垂れ流していた。





部屋の壁は夕暮れ色に染まり、差し込んだ西日が部屋に暗い陰影を落とす。


私は光の届かないベッドの上で膝を抱えていた。

両手に携帯と眼鏡を握り、ただぼんやりと、自分の手を見詰める。



あの時――自らと外界とをシャットアウトした時、私は赤を溢れさせるソレから目をそらした。

現実逃避。いや、諦観と言った方が正確かもしれない。

この現実を受け入れるわけでもなく、ただぼんやりと眺め現状打破を諦めたのだ。



だって、それしか方法はなかった。

存在すら考えたこともないこの異世界という場所に、一人放り出されてどうしようというの。

受け入れられないと抗い続けて心をズタズタに切り裂けって?
それとも、柚子やおじいちゃんを捨ててこの世界で生きろって?


…そんなこと、私にできるわけがない。


私はドラマの主人公のように強い心を持っているわけでも、ましてや冷静に現実を受け入れる分別を持った大人でもない。


所詮、平凡な高校生なのだ。



そんな私に選べる道は、諦めること、目を逸らすことしかないのだ。



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