青薔薇に愛を込めて
――――……‥
ゆらゆら、ゆらゆら。
心地よい揺れと温度。
ああ、懐かしい…
おじいちゃんの背中と同じだ。
少し頼りなくて、
でも暖かくて優しい背中。
そういえばおんぶなんて全然やってもらってなかったなあ。
もう高校生にもなっておんぶなんて恥ずかしいし、さすがにおじいちゃんも年だから…
子供の頃に戻った気がして、無性におじいちゃんにすがりたくなった。
首にまわしていた腕に、ぎゅっと力をこめる。
「ん…おじ…ちゃん……」
「誰がおじいちゃんだって?」
…あれ?今の声…
聞き覚えのない声に、私はそっと瞼を押し上げた。
「…やっと起きたのか」
「……」
ここはどこだろう。
辺りは見回す限り花、花、花。
寝ぼけた頭では咲き誇るバラが立派だってことしか認識できなくて、ここがどこかなど分かるはずもなかった。