青薔薇に愛を込めて
改めて聞いてみると、確かに最初思ったように声は男だ。
見た目と声があってなさすぎる…
「じゃあどうしてそんな可愛い格好してるのよーっ」
「父上が――ってちょっと、痛いって!」
さすがにやりすぎてしまったみたいで、ヴェルは眉をしかめながら私の手を無理やり振り払う。
「…あ、ごめん」
素直に引き下がれば、ヴェルは
「別に………あ、」
何か閃いたように私の顔を凝視する。
なんか付いてたかな。
…あっ、ホールでケーキ食べたあと口拭いてなかったかも!
焦って口元をごしごし擦ったけど、どうやら何も付いていない様子。ひとまず安心、安心。
ほっと息をついていると、ヴェルが前触れもなく右肩を押さえだした。
「やっぱ痛い!痛くて死にそう!」
は?
仏頂面でなんともなさそうにしていたのに、突然苦しみだすヴェル。
いやいや、全然痛くなさそうにしてたよね。