青薔薇に愛を込めて
やばいどうしようどうすればいいの!?
このまま去ってしまったら道を聞けなくなるし、かといってあの状況で尋ねるなんてそんなこと…ああ、どうしようっ!
ていうかなんで人んちで濡れ場作っちゃってんの!非常識にも程があるわっ!
未知の世界を垣間見た私は盛大にパニックに陥っていた。
でもでもでも、もしかしたらここじゃないどっかに人がいるかもしれないしそしたらホールに行って柚子に会えるしよしここは逃げよう!
私はそう判断した直後に、踵を返そうと勢いよく足を踏み出した。のに。
がちゃという音を伴って開く扉。
現れたのは…
「ああ、君だったのか。どこにいくんだい?」
がしっと捕まれる私の手首。
振り返るとそこには、にこりと綺麗に微笑んだ男。
…やっぱりというかあの赤毛のイケメン細マッチョだった。
服がしっかり整えられていたのが不幸中の幸い。
「っ……!」
私は驚きと羞恥のあまり、言葉を失い口をぱくぱくすることしかできなかった。
そんな私を彼は不思議そうに見つめ、何か思い付いたのか「ああ」と頷く。
「そうか、話せないんだったね」