青薔薇に愛を込めて


言及されると思っていたから、彼の言葉は予想外だった。

驚きで口から出てしまった変な声。
おもいっきり裏返った。



そんな私に彼はくすりと吐息のような笑みを漏らす。

恥ずかしい…!



「君は夜会の直前に逃げ出してしまうし、これから先不安だったけれど案外上手くいくかもしれないね」

「えっと、…はいそうですね」



何のことか分からないけど、ここは無難に。


なんだかヴェルと知り合いのようだけど、誰なのだろうか。

しかもヴェルは夜会…たぶん仮装パーティを抜け出したらしい。



「これからの二人の友好関係は国に関わってくる。…それで関係を保つために一つ大事な提案があるのだけれど、いいかい?」



国!?

考えてもなかった大規模な単語に私は瞠目した。


ヴェルって何者?

国が関わる程の重要人物。
そういえばヴェルを探していた男二人組が彼を姫様と呼んでいたような。



「……まさか」



私の頭の中で、一つの可能性に行き着いた。


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