青薔薇に愛を込めて
――他国のお姫様…とか?
「姫?」
知らずに深く考え込んでいたらしく、彼が不思議そうにぱちりと瞬きをした。
「あ、はい。えと、提案でしたね…それはどういったものなんですか?」
誤魔化すように尋ねてみれば、彼は子供のように笑う。
嬉しげなその表情はとても綺麗で無邪気で。
「お互いの交遊関係には一切口出ししないこと、なんてどうだろう?」
「……え?それだけですか?」
大事な提案というぐらいだからもっとすごそうなものを予想していたのだけど。
私の問いかけに彼は笑って続ける。
「ああ、それだけさ。けれどやはり、夫婦になるのだから未来の妻の了承は得ておかないと、と思ってね」
「……夫婦!?」
嘘でしょ!?
もしかしてこの人ヴェルの婚約者!?
まさかの真実に私はすっとんきょうな声をあげた。
ん?待ってよ…
婚約者同士、お互いの交遊関係に一切口出ししないってことは…
「もしかして浮気を認めろってことですか?」
「ん~、平たく言うとそうなるかな。
けれどそれは姫に限ったことではなくて、僕も君の浮気には目を瞑るということだよ」