青薔薇に愛を込めて
そういう問題ではない気がするのは私だけ?
というか、本人に向かってそんなこと言うなんて最低。
私は浮気なんて不誠実なこと、しないしするつもりもない。
実際私にとっては他人事なのだけど、なんだか頭にきて彼をきっと睨んでやった。
すると私の気持ちが通じたのか彼は楽しげに笑みを深める。
「そんなに怒らないで。さっきも言ったじゃないか、僕の心は君だけのものだって」
「別に怒っていません。どうぞお好きに女のケツでも追いかけてください。
その代わり、私には一切関わらないでくださいね」
「もちろんだよ。これで心置きなく女性の"ケツ"を追いかけられる。君には感謝しなくてはね」
あまりに不誠実な発言にいらっときて、皮肉ってやったのに彼が返してきたのも皮肉…というか嫌味だった。
なんて最低な男。
でも、国が関わる結婚…政略結婚なんてそんなものなのだろうか。
どんなものにしろヴェルが気の毒すぎる。
…ああ、そうか。
ヴェルがあんなへったくそな演技をしてまで逃げ出そうとしていた理由が分かった気がした。
男なのに政略結婚で姫として他国に嫁ぐことになり、しかもその相手がこんな最低男ときた。
そりゃ逃げ出したくもなる。