青薔薇に愛を込めて
「柚子はいいよね、彼氏いるし」
「ぷぷ。まさか嫉妬?」
「ばか」
ほら、彼氏さん苦笑いしてるじゃん。柚子が変なこというから。
私はもう一度ため息をついた。
ちなみに私は今、彼氏いない歴=自分の年齢という悲しい記録を更新中。
「…ま、それは置いといて。帰りたいんなら帰ってもいいのよ?あたしは終わるまでいるけど」
「えっ?でもお泊まり会はどうするの?」
今日は柚子のウチに泊まりにいく予定だ。
柚子のウチって言っても今いる屋敷なんだけど。
「もう時間も遅いし、帰るんならまた今度になるわね」
えー、それはやだなぁ。
お泊まり会だけが今日の唯一の楽しみになっちゃったっていうのに…
そんな私の心の声が聞こえたのか、柚子がふふっと笑った。
女である私から見ても、今日の柚子の笑顔は三割増しできれいだ。
彼氏さんも見惚れている。
「そんなとこだろうとは思ってたわ。はい、これ客間の鍵だから先に部屋に行って休んでたらどう?
あたしはパパに最後までいろって言われてるから、後からいくわ」