青薔薇に愛を込めて
かわいい犬のキーホルダーがついた鍵。
私はそれを受け取りながら頷いた。
「…でも迷ったらどうしよう」
この屋敷はただ広いだけじゃない。
迷惑なことに構造が複雑なのだ。
同じ階にある部屋に行くだけで、階段を二、三回登り降りしなければならない。
迷ったら餓死しちゃうかも…
「大丈夫よ、私の部屋の二つ隣の部屋だから。私の部屋ならいつも行ってるから分かるわよね?」
「うん、まあ…」
私はしぶしぶ了承した。
しつこく言ったら柚子が怒っちゃうから。
別に柚子の部屋に行くぐらいどうってこともないのに、何故か今日は一緒に行って欲しい気分だった。
へんな不安みたいなものが、胸の辺りで渦巻いている。
なんで?と自分でも首を捻っていたら、ちょうど曲が終わった。
「誠司、躍りにいきましょう」
「ああ、そうするか」
そういって、柚子は彼氏さんの腕に甘えるように絡み付く。
あーあ、お熱いことで。
リア充は独り身の目にはホント毒。