青薔薇に愛を込めて
「あの、えと……。ごめんなさい」
今さらという気恥ずかしさも相まって、目をそらしながらやっとの思いでもにょもにょと口を開けば。
彼はただ、微笑みを崩さず、優雅な動きでベッドから降りる。
…無視されたかも。
せっかく謝ったのに。
確かに私が悪かったけどさ、謝ってるのを無視するなんて酷いと思う。
けど、それをリツィリアさんに言えるほどの勇気を私は持ち合わせていない。
まだ彼に怯えながら、むかっ腹を立てていれば、いつの間にか彼は琥珀色の液体が入っているグラスを二杯持っていて、その片方を私に寄越した。
何だろう、これは。
訝しげにじっとそれを見つめていると、吐息のような笑い声が聞こえた。
「大丈夫、ただの酒だよ」
酒っ!?
いやいや、私未成年ですから!
…あ、でもここは日本じゃなさそうだし、私ぐらいの歳だったらもう飲酒はオーケーなのかも。
そう思い直して受けとれば、彼はゆったりとベッドの縁に腰かける。