青薔薇に愛を込めて
ちらりと、無表情のジュリエさんに私たちの格好を見られて、私は慌てて身を引いた。
その時になってやっと、自分がしでかしたことに気が付いたのだ。
おそらくジュリエさんの方から見れば、私がリツィリアさんを襲っているような構図だっただろう。
普段の私からは考えられない行動だ。
「神官長を呼んできてくれ。あと、白い箱と眼鏡も。大至急」
「かしこまりました。少々お待ちください」
リツィリアさんは言葉少なに命じた。
やっぱり口調は穏やかだけど、どこかほんの少し乱暴さがあり、普段から人に命じる立場にある人だということを匂わせる。
ジュリエさんが扉を閉める様子を見届けた後、リツィリアさんは私に向き直り、すくっと立ち上がった。
「…君がヴェレーナ姫ではないということは、信じよう。確かに以前見た時の彼女の瞳は青緑だったからね」
「ありがとうございます」
立ち上がったリツィリアさんは驚くほど大きかった。
平均的な身長の私より、頭二つ分は大きい。
「それであの…一つ質問なんですけど。いいですか?」
「どうぞ」