青薔薇に愛を込めて
ここがヨーロッパであるということには自信があったのに、返ってきた答えは予想外のものだった。
「……よーろっぱ?なんだい、それは」
「ええっ!?」
よ、ヨーロッパを知らないなんて…
どんだけ田舎なんだこの国!
国の偉い人ならEUぐらい知っているはずだ、という私の考えが間違っているのだろうか。
なんて思ってみたけど、それはあり得ない気がする。
「じゃあここは何て言う大陸なんですか?」
これならどんなに田舎の国でも答えられるだろう。
私の予想はユーラシア大陸だったけど、ヨーロッパではないらしいから、アフリカ大陸とか南アメリカ大陸とかだろうか。
でもなんだか、とてつもなく嫌な予感がする。
柚子と最後に別れた時に感じたように、大きい固まりになった不安が胸を侵食する。
私の質問があまりに飛躍しすぎたためか、リツィリアさんは不思議そうに首を傾げた。
「カルラ大陸だけど?」
「か、かるら大陸!?」
なんだそれは!
嫌な予感というのは大体が的中するものだ。
虫の知らせとか、女の勘とかと同じ類いのものじゃないかと私は思っている。
とにかく、私の場合は的中しなかったことがない。