青薔薇に愛を込めて
「わっ!」
私は思わず声をあげてしまった。
緑色の髪をボブにした小さい子供が一瞬だけ姿を現したのだ。
でも焦ったようにすぐ、ジュリエさんの後ろに隠れてしまった。
かわいいっ!
髪の色にも目が引かれるけれど、幼いながらとても美しい顔立ちがなによりも私を驚かせた。
動きもちょこちょこしていてまるで小動物。
「ローニャ様、大丈夫です。ほら殿下がいらっしゃいますよ」
ジュリエさんが相変わらず無表情で後ろにいるその子に声をかけた。
「……ローニャ、おいで。聞きたいことがあるんだ」
しばらく無言が続いたので、しかたなくリツィリアさんが明るい調子で呼びかければ、
ジュリエさんのスカートの後ろからひょこっと顔だけ出してくれた。
手はしっかりとジュリエさんのスカートを握っている。