青薔薇に愛を込めて
要するにおじいちゃんは、私の嫌なことを簡単にしてしまうほど自分の正義に背くようなことを毛嫌いしていたのだ。
例えば、珍しく口煩く説教をしてきたあの人に
感情に任せて「他人にそんなことを言われる筋合いはない」と言ってしまった時のおじいちゃんの怒り様の凄まじさは記憶に新しい。
名残惜しそうにケータイと眼鏡を見つめるサジェルバさんから
半ば奪うようにそれらを受け取る。
良かった…
手の中にある見慣れた二つを胸に当てて、ほっと息をついた。
「してハルカ殿、その眼鏡なのですが、どこで手に入れたのですか?」
「え?富○メガネですけど」
あ、ここは日本じゃないから店名を言っても分からないのか。
よく分からないといった様子で首を捻るサジェルバさんに、私は慌てて付け足した。
「私の国で眼鏡を扱っているお店の名前です」
「ほう、それは興味深いですな。
どうやら貴方の国はとても素晴らしい技術をお持ちのようだ。そのレンズの薄さといい、狂いのない曲線といい、素人の儂ですら感嘆してしまいましたよ」
「ふふ、ありがとうございます」
うっとりと私の眼鏡を見つめ、流暢に誉めちぎるので、私は小さく笑った。
確かに富○メガネさんって、素晴らしいよね。サービスもいいし。
「サジェルバ」
突然、リツィリアさんが瞳を輝かせなおも口を開こうとするサジェルバさんを遮った。
眉をひそめており、少し不機嫌そうに見える。