先輩と後輩の恋愛事情
「名前はあれだけど、ちゃんとしたカラオケ店だから安心して」
「ふーん・・・」
先輩は少しだけ納得したように答える。
「いらっしゃいませ。
5名様でよろしいですか?」
「えぇ」
「では・・・」
「あ、お金は早瀬って言えばわかるわよね?」
「はっ!
早瀬お嬢様ですね。
かしこまりました。
では6番のお部屋になります」
「ありがと」
早瀬先輩は受付の人から鍵を受け取ると、奥へ進んで行った。
「は、早瀬先輩、お金は・・・」
「あぁ、いいのいいの。
このカラオケ店うちが経営してるようなものだから気にしないで。
後でうちの者に払わせるわ」
「でも・・・」
「実梨ちゃんが気にすることじゃないわ。
今まで迷惑かけてきちゃったし・・・」
申し訳なそうに笑う先輩はどこか切なげだった。
まぁ、先輩がここまで言ってくれているのだ。
今日は先輩にお世話になっとこう・・・。
「ここね、6番」
早瀬先輩の後に続いて部屋に入る。
するとそこはテレビとかで見るカラオケ店とは明らかにちがい、部屋が倍に広いし、なぜかドリンクバーまで付いてる。
「な、何だここ・・・」
紀田くんも黒木先輩も入るなり驚きの声を上げていた。
「こんなところがカラオケ一部屋かよ・・・。
ありえねぇ」
「ざっと20人ぐらいは入れそうだな」
「ま、みんな適当に座って。
さて、誰から歌う?」
早瀬先輩はハイテンションで機械の近くのソファに座り、何を歌うか決めていた。
「・・・まぁ、俺たちも座るか・・・」
先輩の一言でみんなそれそぞれあちこちに座りだした。