先輩と後輩の恋愛事情
あれから先輩をちょこちょこ見かける時はあったが、周りにいつも人がいて話しかけられる雰囲気じゃなかった。
そして、夕方…。
もう帰る時間になちゃってるし…。
ショボーンとしながらカバンに教科書などを入れる。
「じゃぁね、実梨」
「バイバーイ」
「うん、バイバイ」
笑顔で手をふってくれる女の子たちに私も手をふりかえした。
「はぁ…」
今日はもうあきらめてまた明日お礼言いに行こ…。
「…またため息ついてる…」
バッと声がした方に向いた。
「…なんだ、佳か」
扉のそばでこっちを見ている佳。
教室には1人だったから、いきなり声がしてビックリした。
「なんだって…何?」
「別になんでもないよ」
「ふーん……帰る?」
「うん…」
カバンを持って佳と一緒に校舎をでる。
「…ねぇ、佳」
「ん?」
「朝のあの先輩…」
「あぁ、夏休みの時に会った人でしょ?」
「え、佳覚えてたの?
でも朝は知らないって…」
「何だかめんどくさそうだったから、知らないふりした」
めんどくさそうだったって……。
苦笑いをしながら歩く。
すると後ろから
「あっ…!」
と何かを見つけたような声がした。
あっ…?
なんだろうと気になって佳と二人で振り返ってみた。
「「あ……」」
これはラッキーと言うべき?
それともアンラッキー?