先輩と後輩の恋愛事情
「あ…えっと…。
ほ、星キレイですよね!」
早瀬先輩に言われた『王子様』と言う言葉が脳裏に焼き付いて、恥ずかしくて先輩の顔をまともに見れなく、とっさに空を指した。
「ホントだ…。
キレイだね…」
先輩は星を見上げて言った。
「あ、あれ冬の大三角形じゃない?」
「え、どこですか?」
「あれあれ」
「う〜ん、よくわかりません〜」
「ったく。
ほら、こっちに来て。
教えてあげる」
「はい〜」
先輩にあきられたと思い、シュンと小さくなる。
先輩はそんな私の腕を引っ張って、自分の体に引き寄せた後、私を後ろから抱きしめたような状態にした。
「あ、あの、先輩!?」
「いいから。
はい、星見て。
俺の手を追いかけて見てね?」
「は、はい〜」
答えてはみるけど、ドキドキしてそれどころじゃないんですけど…。
「あれがベテルギウスで、次がプロキオン、最後がシリウス。
それを繋げていくと、冬の大三角形ができるんだ」
「…へ〜、先輩物知りなんですね」
「まぁね」
嬉しそうに笑う先輩。
か、かわいい…。
「くしゅん!」
「あ、寒いよね。
そろそろ中に入ろっか」
「すみません…」
先輩は手を差しのべて、中に連れて入れてくれた。