先輩と後輩の恋愛事情



「うわー、人多いね」




「そうだね…」




想像以上に初詣に来てる人が多かった。



「実梨、はぐれないようにしっかり繋いでて」



「うん…」



人混みの中をかき分けてお参りをする鈴のところへ移動する。



「ぷはー!
暑ー!」



「でもここまで来れたね」


「そうだね。
じゃ、お参りしよっか」





「うん」




私と愁はお金を投げて鈴を鳴らし、手を合わせてお願いごとをした。




今年も来年も、これからも、先輩とずっと一緒にいられますように…。




「…おみくじしない?」



「うん!」




最後に私たちはおみくじをすることにした。



「いいの出ろ!
いいの出ろ!」



そう言って私は引いた。



「実梨、何だった?」



「ちょっと待って。
……大吉だ!」



「えっ!?
ホントだ!」



「…愁は何だった?」




「ん、実梨と一緒!」



「え、てことは…大吉!?」




愁が持っているおみくじを覗いてみる。




…ホントに大吉だった。



「恋愛、今が一番幸せ。
だって」




おみくじを読む愁。



すごく嬉しそうだ。



「これ、当ってるね」




え、あたってるの!?



「実梨のは何て書いてある?」



「えっと…『今が最善。すべてをつくせ』…だって…」



「へー、じゃぁ俺たち今すごいいい感じってことなんだ!」



「…そうみたい…」




「実梨…」



「ん?」



ギュっと手を握りしめられる。



愁を見上げると、優しい笑顔をしていた。



「これからも、ずっと一緒にいような」



「…うん!」



私も笑顔で返す。






愁。




ずっとずっと、一緒にいようね。











END






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