先輩と後輩の恋愛事情
☆おまけ☆
☆おまけ☆
―あれから7年―
「実梨ー」
「何〜?」
「今日皆で集まるの何時だっけ?」
「え〜と、4時じゃなかった?」
「わかった」
私と愁が結婚して1年。
今日は高校時代の皆で集まる日。
「あっ、来た!」
「おーい、二人とも〜!」
紀田くんと早瀬先輩に呼ばれて愁と奥の席に向かって座る。
三人の顔を見て懐かしさを感じた。
「わ〜、久しぶりだね〜。元気だった?」
「おぅ!」
「ていうか実梨。
結婚式の時会ってるからそれほど久しぶりじゃないよ…」
「そうだっけ?
それにしても佳。
雰囲気変わったね」
「そう?」
「うん、早瀬先輩のおかげかな?」
「かもね…」
愁と一緒に初詣に行ったあれから数ヶ月後、早瀬先輩と佳は付き合い始めた。
何があったのかは詳しくは知らない。
けど、お互い本当に好きらしい。
「来年だっけ?
結婚するの」
「そうよ」
「よく両親が許してくれましたね…」
早瀬先輩はお金持ちのご令嬢。
両親なら普通その娘をお金持ちと結婚させるようなイメージなんだけど…。
「私が意地でも押しきったわ。
知らないお坊っちゃまなんかと結婚するなんて、まっぴらごめんよ」
「ははは、そうですね…」
相変わらず先輩はすごかった。
「そういえば桜井、今何ヵ月だっけ?」
「桜井って…」
「あ、わりぃ。
ついこの呼び方に慣れちゃって…」
「私、もう黒木なんだけど…。
まぁいいや。
紀田くんの呼びやすい呼び方で呼んで」
「じゃぁ…実梨…」
「却下」
「愁?」
「実梨を呼び捨てに呼んでいいのは、俺と内野宮くんだけ。
他の人はダメ」
「愁〜…」
「…わかりましたよ。
じゃぁやっぱ桜井な」
「別に実梨でも良いんだけどね…。
うん、わかった。
で、何だっけ?」
「今何ヵ月だっけ?」
「え〜と、…6ヶ月」
「まぁそんなもんよね。
大きいわ…」
「触ってもいい?」
「いいよ」
私のふくれたお腹を優しく撫でる佳。
私のお腹には、愁との新たな命がやどっている。
「あ、今動いた!」
「元気な赤ちゃんが産まれるといいわね」
「ねぇ、もう名前は決めたの?」
「うん」
「どっちでもいいように、恵流って名前にしたんだ。」
「めぐる?」
「恵みが流れて来ますようにって意味なんだって。
愁がつけたんだよ。
結果では女の子だったけど」
「へー、女の子なの。
いい名前ね」
「恵流ちゃんか。
うん、いいと思うよ」
「恵流、みんながいい名前だって。
良かったね」
その時、またお腹の中で動いた気がした。
もしかして、喜んでるのかな?
そうだといいな…。
「実梨、今度は3人で幸せに暮らそうな…」
「うん…」
「はいはーい、俺たちの前でイチャイチャしないでくださーい」
「何だよ、うらやましいのか?」
「うらやましくなくない!」
「どっちだよ?」
ギャァギャァと騒ぐ愁と紀田くんを見て、私たちは笑った。
未來はまだまだ広がって行く。
みんなと笑える幸せ。
そんな日々が、これからもずっと続きますように…。
END