先輩と後輩の恋愛事情


『え〜白組、尊敬している人、ですね。
赤組は〜…かわいいと思う後輩、ですか〜。
では、行ってらっしゃい!』



やっと半分ぐらいまできた。



「ねぇ、赤組が引いたかわいい後輩って誰になるんだろうね〜」



「え、佐々木さんじゃない?
学校では結構人気らしいよ?」



佐々木さん…?



「佐々木って誰?」



「ほら、あそこにいる1年生
あたしたちとは別クラスだから会う機会は少ないと思うけど…」



女の子が、違うテントにいる髪がボブの女の子を指さした。



確かに…目はでかいのに顔は小さくて、かわいい…。



けど



「何でニヤけてるのかな?」



「そりゃあ実梨さんよ、自分が選ばれるって思ってるんじゃないの?」



「ふーん…」




軽い返事をしてジッと見つめて見る。



選ばれてもおかしくない、か…。



「実梨ちゃん!」



「ん?」



呼ばれた方を振り向いてみる。



そこには息を切らして笑っている。



「「く、黒木先輩!?」」



がいた。



「先輩?
どうしたんですか、息を切らしてまで…」



「いいから、一緒に来て!」



そう言われ、なすがままに腕を握られて連れだされた。



隣にいた女の子たちは呆然と口を開けて見ているだけだった。



「ちょっ、先輩何ですか!?」



「いいから、いいから!」


一緒に走る先輩は何だか楽しそうだった。



てゆーか、腕離してくれないかな…。



こんなところ早瀬先輩に見られてたら…。



ん?



そういえば先輩たちどうなったんだろ…



「連れてきた!」



「え…?」



『赤組は…かわいいと思う後輩、でしたね。
あなた、年と名前を言ってください。』



えっ、え!?



何が起きているのか戸惑って焦っていると、先輩がコソッと。



「大丈夫」



と言ってくれた。



その一言で落ち着いた私は、マイクを向けられているのを手に取って。



「…1年桜井実梨、です…」



最後が小さくなったけど、言えた。



「赤組、合格です!」



「やった!」



『じゃぁ、次の人に回してくださ〜い』



先輩と一緒に歩いてテントへ戻ろうとする。











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