先輩と後輩の恋愛事情
突然の登場でみんな先輩の方を向く。
先輩はそんなのお構いなしにヅカヅカと教室に入ってきた。
そして潤眼の私に優しく笑って。
「はい、カバン
保健室に忘れてたよ?」
「あり…がとう…ございます…!」
先輩の笑った顔を見ると、安心してブワッと涙が出そうになった。
そんな私の手を取って
「先生、桜井さん調子が悪いみたいなんで、また保健室に連れていきますね」
と言って私の手を引いて歩き出した。
先生はそんな先輩に呆気にとられて。
「え、えぇ…」
と答えるしかなかった。
「じゃぁ行こう…」
先輩が教室を出る最に首を後ろに回して見下したようにニヤリと笑い
「先生、生徒を叱るの程々にした方がいいですよ?
学校中に声、響いてましたから」
いい終わるかいなか、ピシャンッと扉を閉めた。
生徒に見下され、生徒に注意を受けるとは、あの先生にとってもっとも頭にくることで、恥ずかしいことだろう。
きっと今頃赤面になってるに違いない。
…まぁ先生は置いといて…。
「先輩…どこ向かってるんですか…?」
「どこって…だから保健室だよ」
何だか先輩の声はいつもと違ってちょっと低く、怒っているような感じだった。
着いた場所は確かに保健室。
「…でも何でベッドなんですか…?」
「え、いや…
ほら、先生とかに見つかったら色々と面倒そうだから!」
「…そうですね…」
何か焦った感じだったけど、一応先輩の言葉に合わせた。
「はい、ティッシュ」
「ありがとうございます…」
先輩に渡されたティッシュ箱から1枚の取り、チーンと鼻をかむ。
「フフ、実梨ちゃん可愛いね」
「え…?」
「女の子が鼻かむところ初めて見たからさ、新鮮で可愛いなって」
ハッ!
確かに私もお父さん意外の男性の前で初めて鼻かんだ!
そう言われると、徐々に恥ずかしくなってきた。
笑う先輩は赤くなる私を
「よくがんばったね」
と、抱いてポンポンと優しく頭を撫でてくれた。
先輩の優しさに触れ、ため込んでいた思いと涙が溢れ出してくる。
「う…ぇ…」
「よしよし、よく我慢したね」
「うわ〜ん!」
私は先輩の前にも関わらず、先輩の胸の中でわんわん声に出して泣いてた。