先輩と後輩の恋愛事情


「…先輩、ありがとうございます。
もう大丈夫なんで…」



「ん、良かった」



「はい、なのであの…そろそろ放してくれませんか…?」



「え、あっ、ごめん!」




私の言葉の意味に気づいてパッと私から手を放し離れる。



私が泣いている間、先輩はずっと頭を撫でながら抱きしめてくれていた。





「実梨ちゃん、教室戻れる?」



先輩はベッドから下り、私に手を差しのべながら言った。



けど、その手をとることはしなかった。



「実梨ちゃん…?」



「あの…私まだここにいたいです…」



まだ一時間目が始まって半分の時間もたっていない。




あんなことが起こった後だ。




せめて一時間休んででもあの先生には会いたくなかった。




ベッドの上で体操座りして動こうとしない私を見た先輩は、小さく笑って




「じゃ、俺も一緒にいよっかな」



とまた隣に座った。



「…先輩は戻ってもらってもいいんですよ?




首をかしげながら言うと、先輩はハハハと笑い




「俺ももうちょっと実梨ちゃんと一緒にいたいから残るよ」




と言ってまたポンポンッと頭を撫でてくれた。













まだ私の気持ちの整理はつかずじまいだった…。








< 41 / 138 >

この作品をシェア

pagetop