先輩と後輩の恋愛事情



すると佳は寂しそうな顔をして言った。



「今日聞いたんだ…
実梨が黒木先輩に助けられたって…」




それは…先生に怒られてた時の話だろう…。




「それを聞いた時、無性に腹が立ったんだ…」



「…先輩に対して…?」



もしかしてやきもち?




「違う…。
自分に対して…。
俺、彼氏なのに大切な実梨を守れなかった。
それが悔しくて…」



「佳…」



「だから、返事を聞く前に実梨を連れ出した…。
先輩に実梨を取られるのが嫌だったんだ…」



「……」



佳の気持ちは痛いほどわかった。




そんな思い詰めた顔をさせるまで佳は私のことを考えてくれていたんだ…。




だけど私…。




「でも、俺分かったんだ…」



「…何が…?」




「…俺じゃ実梨を守れない。
黒木先輩の方がいいって…」



せつなく笑う佳に、私は胸がズキッと傷んだ。




どちらかを選べばどちらかが傷つく…。




私はどうすれば…!









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