先輩と後輩の恋愛事情
相談相手
その後私と紀田くんは先生に叱られた。
「実梨、ついてなかったね〜」
「てか、トイレの水かぶってびっしゃこになったとか、超笑える!」
昼休み、私は女の子たちに囲まれて笑われていた。
「実梨って案外ドジだよね〜」
「そんなことないと思うけど…」
苦笑いして返事をする。
いまだに制服は乾かないし、みんなに濡れた本当の理由を言えるわけないし…。
はぁ、まいったな…。
そして放課後。
制服もやっと乾いて着替え、先輩と一緒に帰ろうと先輩のクラスに行くと、先輩は委員会の仕事があって遅くなるかもしれないということで、一緒に帰れなくなった。
『ごめん、実梨ちゃん!
できれば内野宮くんと帰ってくれる?』
『わかりました』
…とは言ったものの…。
佳、帰るの早いよ…。
先輩のところから佳のクラスに行って、佳が見当たらなかったからどこに行ったのか聞いてみると、もう帰ったと言われた。
ってことは1人…。
寂しい…。
いや、寂しい以前に、何かされないかすごく怖いんだけど…。
クラスの女の子と帰ろうにも、不思議なことにみんな私が帰る家とは逆方向だし。
はぁ〜。
深いため息をついて下駄箱を開ける。
普通なら中に自分のはいてきた靴があるはず、なのだが…。
「ない…」