先輩と後輩の恋愛事情
誤解
【実梨】
「送ってくれてありがとう、紀田くん」
「いや、別に…。
じゃ」
「うん、また明日ね」
紀田くんに家まで送ってもらい、手をふって別れる。
紀田くんが見えなくなってから家の中に入った。
次の日の朝
昨日は学校の校門で待ってくれていた先輩がいなかった。
「……?」
キョロキョロと校門の前で先輩の姿を探す。
けどやっぱり見つからなかった。
「遅刻?
それとも…」
先に行っちゃったのかな…?
「あっ、チャイムが鳴る」
学校の外に置いてある時計を見ると、あと二分で鳴るところだった。
仕方なく、一人で校舎の中へ入った。
「…今度はこれ…」
自分のロッカーを開けると、今度は上履きがびちょびちょになっていた。
濡れた上履きを片手に取り持ち上げて見る。
上履きの先から滴がポタポタと落ちる。
「私、昨日から水難ばっか…」
ふー、とため息をつき、上履きをまたロッカーの中に納める。
今日はスリッパ生活ね…。