先輩と後輩の恋愛事情
元気をなくし、教室に戻る廊下を歩いていると
「あ、実梨…」
前から佳が歩いてきていた。
「佳、久しぶり…」
「うん…。
何か元気ないみたいだね。どうかした?」
「ううん、何でもないよ…」
「…先輩とケンカしたとか?」
「いや、してないけど…」
「そっか。
まぁ何か相談ごとあったら俺聞くから」
「うん、ありがとう…」
ポンと頭に手を乗っけられる。
良かった。
佳と別れてギクシャクなると思ってたけど普通だ…。
「じゃ、俺行くから…」
「うん」
…そう言えば紀田くんも同じような事言ってたな…。
『もしまたこういうことがあったら俺に言え』
『話聞いたり、力になってやれることがあるかもしれねぇからな…』
あの時ホントはちょっと嬉しかったんだよね。
誰にも言えなかった話を紀田くんに話して、相談に乗るよって初めて言われたのが…。
まぁ紀田くんの場合、「相談に乗るよ」とは口に出してないけど。
でもあれって同じような事だよね。
クスクスと1人笑って教室に戻った。