先輩と後輩の恋愛事情
「はー、食った食った」
「紀田くん、食べた後すぐに横になると牛になるんだよ?」
ご飯を食べ終わって、すぐ横になってくつろいでいる様子。
「…ハハハ、桜井そんな迷信信じてんだ?
ちょっと意外だな」
そう笑ながら紀田くんは体を起こした。
「そう?
別に信じてるって訳じゃないけど、今の紀田くんにはこの言葉が一番あってるかなって」
「ふーん。
桜井って面白いな」
「え?」
面白い?
私何か面白いこと言った?
「桜井といると飽きない」
「……」
その言葉、前先輩にも保健室で言われた…。
『実梨ちゃんといると飽きないね』
…わからない。
飽きないでいてくれるのは有りがたいことだけど、私それほど面白いこと言うわけでもないのに、何で「飽きない」なんて言ってくれるんだろう…?
「…ねぇ紀田くん、何で飽きないって…」
あれ?
紀田くんに目を向けると、寝っころがって目をつぶっていた。
「もしかして、寝ちゃった?」
「……」
返事がない。
とすると…やっぱり寝ちゃったのか。
起こす人いないといけないから、私ここにいなくちゃいけないじゃん…。
「……」
寝顔を覗くと、普通に気持ちよさそうに寝ていた。
「も〜、話の途中だったのに」
紀田くんのオデコに軽くデコピンする。
「ん〜…」
やば、起こしちゃった!?
少し唸った後、寝ぼけているのか、腕を引かれた。
「え!?
きゃっ!」
紀田くんの体の上に乗っかる!
そう思い、ギリギリのところで向こう側に手をついて体を止める。
「あっぶな〜」
「……」
大丈夫、紀田くんは目を覚ましてない。
そーと、倒れた体を起こす。
「ふー、間一髪…」
さすがにさっきのは焦った。
ナイス反射神経!
「もうつつくの止めとこ…」
そのまま昼が終わる直前まで紀田くんの寝顔を見ながら時間を過ごした。