先輩と後輩の恋愛事情
「先輩、校門で待ってるってさ」
「校門…」
涙を止め、保健室から出て玄関に向かう。
後から聞いた話だと、紀田くんは私が保健室で泣いているとき、こそっそり部屋から出て、屋上で先輩と話し合ったらしい。
「私、二時間も授業サボッちゃった…」
「大丈夫。
俺が、ちゃんと説明しといたから」
「…なんて?」
「腹痛で、動けませんって」
「なっ…!」
「ハハハハ、冗談だって。冗談」
「当たり前だよ!
冗談じゃないと困る!」
「ハハハハ」
紀田くんと話ながら歩いていると、あっという間に校門に着いた。
「…先輩」
本当に校門で先輩が待っていた。
「…じゃ、俺帰るな」
「あ…」
「また明日!」
別れを言う前に、紀田くんはすぐに行ってしまった。
気まずい…。
歩き出したものの、先輩何もしゃべらないし、私も何話していいのかわからなくて沈黙が続く。
あぁ、先輩とこんな無言の日が来るなんて…。
意外と早かったな…。
先輩の後ろをショボーンとしながらただ黙ってついて行く。
誤解を解いたって言ってたけど、やっぱ先輩怒ってるのかな…。