先輩と後輩の恋愛事情
「先輩…」
あぁ、私先輩とキスしちゃったんだ…。
ちょっと恥ずかしい。
目線を下におろす。
「実梨ちゃん、目そらさないで…」
「…はい」
おろした目線をまた先輩に向ける。
今の私の顔はきっとすごく、赤く染まってるだろう。
そう思っていた。
けど、先輩も夕日に負けないくらい赤くなっていた。
「実梨ちゃん赤いね」
微笑む先輩は私の頬に手を添えて言った。
「…ハハ、先輩もすごく赤いですよ」
添えられた手に自分の手を重ねて笑う。
お互い笑い合った後、手を繋いで歩き出した。
「先輩、もう変なこと言おうとしないでくださいよ?」
「変なことって…!
…まぁ、でももうこの手は放さないようにする」
ギュッと繋いだ手に力を入れられる。
「そうですね。
私も絶対放しませんから!」
握られた手を握り返す。
…先輩とあのまま別れてれば、嫌がらせはなくなっていたかもしれない。
けど、私は嫌がらせより先輩がいなくなる方が怖い…。
だったら、嫌がらせなんかに負けてなんていられない。
自分の幸せは自分で決める!
…紀田くんにもちゃんと言わきゃ…。