先輩と後輩の恋愛事情
シーンと辺りが沈黙する。
え…、元黒木集団…?
ウソ…紀田くんが?
私は驚きで表情を隠せないでいた。
「元黒木集団だー?
じゃぁ1人でくるぐらいだから結構楽しませてくれるんだよなー!?」
ニヤッと笑った男の人は手を上げ、降り下げた。
その瞬間、周りからガラガラと物音を立てながら大勢の人数の集団が現れた。
「なっ…!?」
「てめぇ1人で俺たち、青木集団を殺れると思うなよ!」
そう叫んだ1人が紀田くんを殴りにかかった。
そのパンチをかわして、反対にみぞおちにくらわす紀田くん。
つ、強い…。
てゆーか、この人たち青木団の人たちだったんだ…。
「こんの野郎っ…!」
みぞおちを殴られた人に続いて、今度は2・3人で襲いかかる。
「そんな遅い拳なんか弟の雅人と比べたらへでもねぇーぜ!」
がっといっぺんに倒していく。
「すごい…」
ボソッと無意識に呟く。
「くっそ!
調子乗んなよ!」
紀田くんの後ろからバットを持った人が殴りかかってきた。
それに気づいたのが遅かった紀田くんは首を殴られて倒れた。
「紀田くん!」
「くそっ!
この野郎!」
一斉に周りにいた人たちに殴られたり蹴られたりしている。
やめて…。
紀田くんが死んじゃうよ…。
やめて…。
「やめてー!!」
自分のせいでこんなにされる紀田くんを見てるのが辛かった。
涙が出そうになるところで大声で叫ぶ。
先輩、先輩!
届かない声で先輩を呼ぶ。
助けて…!
すると、ギギギーッと音を立てながらまた扉が開いた。
「…てめぇら!!
覚悟はできてるんだろうな!?」
声を荒げて扉を開いてきた人は…黒木先輩だった…。