強引な次期社長の熱烈プロポーズ
柳瀬は涙を流している百合香を見て、動けずにいた。
百合香にはもう逃げ場がない。そして、先程言いかけたことを自暴自棄になりながら口にした。

「…私には、柳瀬さんには、関係のないことです。でもこんな風になったのは柳瀬さんがっ…」
「俺が…?」

柳瀬は再びゆっくり百合香に歩み寄った。
百合香の背には壁。もう本当に逃げる場所などない。


「···どうして思わせ振りな態度とったりするんですか。私に気がないのなら初めから優しくしないで。手なんか繋がないで。…キスなんか、しないでっ···」


柳瀬はその言葉を聞いて百合香を強く抱き締める。

「だから····こういうことをしないで··」


(もう、私だめだ。
涙も止まらなければ、柳瀬さんへの想いも止まらない。
いつの間にかこんなに好きになってた―――)


消え入るような泣き声で柳瀬の胸に百合香は漏らした。

そんな百合香を柳瀬は更に強く強く抱き締めた。


(柳瀬さんの香り。
柳瀬さんの大きな手。)

「これ以上好きにさせないで。」




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