強引な次期社長の熱烈プロポーズ
柳瀬に顔をおさえられている百合香は視線だけ、ふと横に逸らした。
柳瀬はそれでも変わらずに真っ直ぐ百合香を見ている。


「あれは、俺の賭けだった。神野さんは俺にだけ明らかに態度が違ったから。」
「賭…け…?」
「君を苦しませるつもりはなかった。」


そういうと、柳瀬の手が百合香の背中に回り、ギュウッと体を抱き締める。


耳元で囁かれる柳瀬の本音。


「ただ、あれは、俺に気持ちを向かせるための布石―――。」


柳瀬の声が響く耳も、手を回されてる背中も、胸の奥も―――――触れてる髪の毛の先一本までもが熱い。



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