強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「ここって…」

百合香が地下に進む車の中からちらりと建物に目をやった。
その建物は都内屈指の有名ホテル。芸能人もよく会見やパーティーに利用してると聞く位だ。


(こんな高級ホテルに、なんで?)


気づけば柳瀬は車を停めて助手席側に周り、ドアを開けてエスコートしてくれた。


「柳瀬さん!こんなとこ…」
「こういうところ、嫌い?」
「嫌いもなにも…来たことなんかないですよ!」
「じゃあ良かった」


ニコリと笑った柳瀬が先を歩くとエレベーターに乗り込んだ。

(エレベーターってなんかドキドキする。)

それは柳瀬とのエレベーターはいつも何かが起きるから…


二人きりのエレベーター。会社のとは違って上昇速度が早く感じる。
そしてここでも百合香はただ黙って数字を目で追うだけだった。


「…何考えてる?」
「べっ別に何もっ…」
「言わなくても大体わかる」


振り向いてニッと笑う柳瀬に百合香はいつでも振り回されてる。


あっという間に15階について柳瀬さんに降りるように促された。

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