強引な次期社長の熱烈プロポーズ
窓に映る夜景の上に自分と柳瀬の姿が反射している。
いつかのショーウインドウ越しに見た2人は恋人同士でもなんでもなくて、直視できないでいたけれど、今は正式に彼・彼女。
それだけで同じように客観的に見える姿を違って感じるのだから不思議だ。


「こんな素敵なところに連れてきてもらえるんだったらもうちょっとオシャレしてきたかったな」


周りをみたらみんな綺麗な格好をしているし、柳瀬自身もいつもスーツではあるけれど今日はYシャツやネクタイなんかが素敵な気がした。


「ああ。ごめん。急に思いついたから。でも神野さんはいつも綺麗な格好してるから大丈夫だと思ってね。」
「そ、そんなことないですけど…急にって、そんな簡単に予約取れないですよね?」


さっき気になってたことを聞いてみた。

「普通はね。ちょっと無理して頼んでみた。」
「それにしたって…」
「ここの料理長がね。俺の伯父だから。」
「ええ?!」


(柳瀬さんの伯父さん!?
こんな高級ホテルのレストランの料理長任される伯父さんてすごいよね!?
だけど、どっちかというと柳瀬さんもこういう業界の方が映える人な気がする。
だって、やっぱりこんな素敵なところでもまわりの女の人は柳瀬さんを見るし、ぱっと見ただけでも柳瀬さんほどの男の人なんて見当たらない。)


「柳瀬さんて、こういう仕事がすごく似合いそうですね」
「それは褒めてる?」
「もちろんです!」
「黒服として誘われたことはあるけどね」

(柳瀬さんの黒服…似合いすぎる。)


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