強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「お待たせいたしました」

テーブルに置かれたのはソフトドリンク。
柳瀬は車の為、百合香は2度の失態がある為お酒は控えた。


「飲めばいいのに」
「もうあんな醜態さらせません」
「いまさら?」
「いまさらですけど!」


柳瀬は笑いながらグラスを手に持って軽く鳴らした。
2人でグラスを口に付けて傾ける。


「…これ以上嫌われたくないですから」
「これ以上って、一度でも嫌いになったなんて言ってないと思うけど?」
「…愛想尽かされそうってことです」
「はは…どうかな。だとしたらとっくにそうなってておかしくないんじゃない?」


(確かに。
きっかけであったあの打ち上げの飲み会から迷惑をかけてたわけで、さらにそのあともあの定休日の日にやってしまって…。そういえば猫なのに誰かいるだなんて騒いで夜に家まで来てもらったことも…)

考え出したら、逆にダメなとこばかり思い出されて居た堪れない気持ちになった。


「前菜のグリーンサラダと4種のチーズ盛り合わせです」

タイミング良く料理が運ばれてきた。
百合香はお皿を見るなり、美味しそう!と目を輝かせている。

「そんな顔してくれたら男冥利につきるな」

目を細めて自分を見る柳瀬に見とれてしまって料理よりもそっちの方から目が離せなくなってしまった。
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