強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「あ…ありがとうございました。ゴハン、とてもおいしかったです。」

ぺこりと頭を下げてお礼を言うと百合香はシートベルトをはずしてドアに手をかけた。

「急な誘いで悪かった」
「いえ!…あの、嬉しかったですから。」

少し照れたように小声で百合香が言った。

明日の仕事を考えたら早く帰って寝なければならない。だけど、やっぱり目の前に好きな人がいたら何を差し置いても一番に考えてしまう。
そんな思いから百合香はすっと車から降りられないでいた。


「あのさ…」
「はっはい!」
「気にしないで連絡くれていいから」
「えっ?」


百合香はドアにかけた手を戻して柳瀬の方を向きなおした。


「百合香は、すぐに遠慮するから。だろ?」
「・・・・・」
「他の誰かに連絡するくらいだったら俺にして」


(あ。今の…ちょっとしたヤキモチ?
誰もそんな相手いないけど、もしかして男とか女とか関係なく、そういう時は自分にって言うことなのかな…)

なんだか急に可愛く見えてしまって、ふふっと声を出して笑ってしまった。


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