強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「あ、何かありましたか?」
「いや、何も」
「柳瀬さんも発注や品出し終わっちゃったんですか?」
「とっくにな。ちょっと警告しに。」

そう言いながら柳瀬は百合香の横に並ぶようにカウンターの中へと入ってきた。柳瀬はショーケースの上のメモ用紙とインクの補充確認をしながら言った。


「さっき、桜井きてなかったらなんて言ってたの」
「え?」
「彼氏いるか聞かれたんだろ」
「どうして…」


(あ!確か智さんと桜井さんが休憩時間同じだったから…桜井さんが聞いててそれを智さんに言ったんだな…)


「…好きな人がいるって言おうかと思ってました」
「付き合ってるって言わないの?」
「柳瀬さんが、立場上不都合かと思ったので…」
「・・・・・」

柳瀬が急に黙りこんで、今度は万年筆の洗浄をする水を綺麗に入れ替える。


「あの、怒ってますか」
「どうしてそう思うの」
「なんとなく…ですけど…あの、すみません」


百合香はハッキリとした理由はわからないけどやっぱり何か気に障ることをしたのかと、一言謝った。


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