強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「他の女と関わるのが?」
「…勿論、それも内心良くは思いません。ただ、それ以上に自己嫌悪に陥るんです。」
「自己嫌悪?なんで?」
「今まで、こんなことなかったんです。こんなに自分の中に黒い、汚い感情があるなんて。」


頭では柳瀬を信じてる。そう言ってる癖に心はモヤモヤ霧がかかったまま。
大人にならなきゃって思っているのに、むしろ子どものように独り占めしたくてどうしようもない自分が大きくなっていた。


「ヤキモチなんて、普通でしょ?考え過ぎだよ、百合香は。」


(桜井さんはそう言ってくれるけど、私のこの感情は本当に普通なの?
だって、彼を好きだと認めた途端にこんなに独占欲丸出しで。
出来るなら智さんに気がある女の人になんか会わせたくないし、気がなくてももしかしたらツーショットなんかみたら嫉妬してしまうかもしれない。)

そして、百合香の思いの行きつく先は、いっそ自分が柳瀬自身になってしまいたいなんて考えなのだから尋常じゃない。




「怖いんです···」




柳瀬に嫌われてしまうこと。
自分が壊れてしまいそうなこと。
いつか、隣からいなくなる日がもし来たら―――。

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