強引な次期社長の熱烈プロポーズ

４．Satoshi's side

「いらっしゃい」
「またきたぞー！」
「····」

柳瀬は江川に連れられていつもと同じ居酒屋にきていた。

友人の中野が当然のように席に着いた二人におしぼりと一緒に生ビールを出す。


「江川、俺車なんだけど」
「え？前回もそうだったけど飲んだじゃんか」
「····」


（何もなければ別にタクシーでも代行でも構わないんだが。）


柳瀬は江川がビールを口につけるのを見るだけで、まだ飲まずにいた。
そこに友人で店員の中野がオーダーをとりにくる。

「なんにする？」
「ちょい聞いてよ！今日柳瀬がノリ悪くて！」
「え？ああ車？」
「この前だってそうだったのに」

柳瀬は二人の会話を聞き流してメニューに視線を向けた。

「あ、あれじゃないの？」
「なに？あれって。」
「彼女じゃないの？」

中野が冷やかすように柳瀬にそういうと、江川は前のめりになってその言葉に食い付く。

「彼女？！こいつに！！？」
「あれ、知らなかった？絶対そうだと思ったのに違うの？」

江川と中野の視線が柳瀬一点に集中する。


< 147 / 610 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop