強引な次期社長の熱烈プロポーズ
第5章

1.恋愛の法則

ここからの帰り道は、柳瀬の自宅よりも百合香の自宅の方が若干遠い。
いつもは会社からだと百合香の家が通り道だけど今日は逆だ。


「智さんのおうちってどの辺ですか?」
「あぁ。言ったことなかったか。ここよりもうちょっと先の、F区。」
「あ、じゃあほんとにいつもはうちが通り道なんですね」
「なに。嘘でもついてると思った?」


別にそんなことまで勘ぐったことはないのに。
意地悪でそんなこという柳瀬に百合香はわざと膨れてみせると、笑ってごめんごめんと言ってきた。


(F区…そこを通り過ぎたらすぐにうちについてしまうな。)


百合香はやっぱり離れがたくて、でもどうにも出来なくてただ黙って柳瀬の姿を見ていた。


「さっきから、視線が痛い」
「えっ!?あ!ご、ごめんなさい!!」


信号で止まった拍子に柳瀬が百合香に言った。

「なんか言いたいことがある?」
「·····」
「言わなきゃ、酷いよ?」
「酷いって…なんですか…」

鋭い目にちょっと怖気づいてしまう。
勿論その目もわざとだってわかっているけど。

「早く言って。青になる前にね。」
「え?えっ?」
「点滅してるよ」
「あの…っ」




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