強引な次期社長の熱烈プロポーズ

「あっ…」

緊張のあまり、どうしたらいいかわからない。手も、体も、視線も、息ですらも。


「今日はやめないよ？」
「····」
「いつかの日と違ってちゃんと記憶、あるだろうから」


もう―――どこまでも敵わない。
そうやって過去を引き合いにして私を辱しめて、笑って。貴方はあの時からそうして余裕綽々でこうなることを予測していたかのように、楽しむように私に触れる。


「…っ、一人で、余裕な感じが…狡いっ…」


ぽつりと言った。


「…余裕、ね」
「だって、そうでしょう？２度も見逃してくれたのなら」
「本当に君は俺を買い被り過ぎだ」


百合香は腰を引かれて倒された。見下ろす柳瀬の表情が一瞬で見えなくなって、唇が熱くなる。