強引な次期社長の熱烈プロポーズ


柳瀬はいつもより数分遅れて職場に着いた。
とはいえ、いつも早くに出社している為、問題のない範囲だ。

事務所のデスクに荷物を置いて一先ずパソコンを立ち上げる。
そのパソコンが立ちあがるまでに少し時間を要するのでさっき百合香が言っていた着信の主が誰なのかを確認することにした。

ピッ

ディスプレイの名前を見て柳瀬はふっと笑って伝言を耳に充て確認した。

「相変わらず、律義だな」

呆れたように独り言をいう柳瀬の顔はどこかしら柔らかい。


「おはようございまーす」
「おはようございます」

そこに坂谷と綾が出勤してきて柳瀬は携帯をしまって挨拶を返し、立ちあがったパソコンに向かった。

受信メールを確認する。


【柳瀬智様

お世話になっております。本日5月10日に、出張の件とオリジナル商品についての打ち合わせをお願いしたいのでご都合のいい時間を指定して折り返しご連絡くださいますでしょうか。

ocean 阿部美雪】


そのメールを確認すると、柳瀬は腕時計と卓上カレンダーとを見て売場の2階へと降りて行った。


< 176 / 610 >

この作品をシェア

pagetop