強引な次期社長の熱烈プロポーズ
いつもは百合香と坂谷の仕事だが、どちらかがいなかったり、手が空いてる時には柳瀬もショーケースを磨く作業から始める。

静かな店内で黙々と硝子を磨いていると、ふとこの前の百合香を思い出す。



『綺麗になって真っ直ぐ並んだペンを最後に見るのが楽しくて』



今頃百合香は何をしているだろう。
あの様子だとまた寝たりしてるのか。それともどこかに出掛けているか。
きっと今夜のご飯を考えて、四苦八苦してるんだろう。

容易に想像できる百合香のことを思うと、今までこんなことはなかった筈の、今すぐにでも会いたいという気持ちが抑えられなくて自分自身に苦笑いする。

ずっと秘めてきた筈の想い。

それが自分に彼女の想いが向いているとわかってからというもの、ひどい独占欲と、執着心だ。

でももう止められない。

彼女の気持ちが少しでも俺に向いている限りは絶対に手離したりなんかしない――――。


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