強引な次期社長の熱烈プロポーズ


「お疲れ様です」
「あっ阿部さん!お疲れ様です!」
「あの、柳瀬さんは?」
「あ、今呼んできます」


坂谷は美雪が来た旨を内線で伝えると、美雪と世間話をし始めた。

「阿部さんて、おいくつなんスか」
「坂谷くん、ずばっと聞くわねぇ」
「はは、直球勝負タイプなんで」
「30になったばかりよ」

ショーケースを挟んで坂谷と美雪が笑いながら話を続ける。

「じゃあ、いい話あったりするんじゃないですか?阿部さん美人だし」
「くすくす、ありがとう。でもそんな話は今のところないわ」
「えぇ!ったく、社内の男は何してんスかね!」
「じゃあ坂谷くんが相手してくれる?」
「いや、俺は無理っす!」

冗談で問いかけた美雪の言葉にそれこそ直球で真面目に即答する坂谷。
美雪はそんな坂谷に更に話を振った。


「その言い方だと、本命の彼女がいるみたいね」
「彼女じゃないんスけどね」
「ふぅん?」
「阿部さんは好きな人いないんですか」


そう聞かれた美雪はショーケースと坂谷越しに遠くから歩いてくる柳瀬の姿を捕えて、そちらを見ながら言った。


「これから頑張るところよ」


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