強引な次期社長の熱烈プロポーズ
一通り片付けも、着替えも終えた柳瀬はキッチンに入り百合香に話しかける。

「何か飲む?」
「お酒ですか…どうしよう」

百合香が悩むのは過去短い間に散々柳瀬に迷惑をかけたから。
これでもしまた飲み過ぎてしまって、何かしてしまったらどうしよう。そんな思いから歯切れ悪い返事になってしまった。

柳瀬はそんな百合香を見て笑いながら冷蔵庫を開けた。


「今日はいいんじゃない。明日お互い休みだし、これからどこかに連れて帰る必要もないからね」


そしてビールを2本片手で持ってくると、蓋をあけて百合香に渡した。
百合香は素直にそれを受け取って、柳瀬が口をつけたのを確認してからそっと缶に唇を添えた。

「お酒、好きなんですね」
「まぁ。それなりに。」
「昨日は飲めなかったから····?」

それは百合香にとってはカマをかけた言葉。
そこからなにか、昨日の行動がわかるような答えが返ってこないだろうかと。

そんな駆け引きは全く得意ではないのに、口が勝手にそう言ってしまう。

「昨日はどうしても運転しなくちゃならなかったからね」

さらりと答えて柳瀬はビールの缶を傾けて喉へと注ぎこむ。
百合香はその答えの真意を探るのに必死で、なかなかビールが減らずにいた。
柳瀬が百合香をじっと見た。
それこそ百合香の言葉の真意がわかっているんじゃないかと思うくらいに真っ直ぐに。

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