強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「何考えてるの？」

視線は逸らさないままで、百合香に問う。

「何も…」
「俺といるのに誰かのことを考えてたんじゃなくて？」

（確かに。
智さんのことではあるけれど、一日頭から振り切れなかった女性の存在。
あの数秒の声の人のことをこんなに考えてしまうなんてほんと、私どうかしてる。）


ある意味図星だと心で認めてしまった百合香は、うまくかわせず答えに詰まる。
そんな百合香の態度が柳瀬にとってはこの上なく許せなくて、つい強引になってしまう。


「誰？江川？坂谷？友達？」
「え、ちょっ…違いますよ」
「じゃあ、誰？」
「···わかりません」


嫉妬心丸出しの柳瀬の問いかけに、百合香もたじたじだったが、事実わからないのだから、少し間が開いたが正直に言った。

しかし、柳瀬はそんなことを知る由もなく、ただ目の前の百合香を引き寄せて強引に唇を奪う。


「んっ」



「…俺のことしか考えないようにしてやるよ」


一言百合香に宣言したら、またすぐに百合香の唇を上から激しく塞ぐのだった。



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