強引な次期社長の熱烈プロポーズ
電話を終えると、丁度柳瀬がついてたお客様もプレゼントを決めたらしく、電話の向かいにあるレジまで柳瀬がやってきた。


「包装頼んでいいか?インクはブラックで。」
「は、はい」


そういうと柳瀬は何やらお客様の雑談に付き合ってショーケースを回り始めた。


百合香は万年筆を洗浄し、インクを確かめ化粧箱へ入れる。
包装紙を取り出して包み、リボンを掛ける。

百合香は包装が好きだった。
黙々と作業ができるというのもあるが、綺麗に包んだこの箱が誰かの手に渡り、リボンを解かれる瞬間を想像することに何とも言えない幸せを感じる。

贈り物購入者が多いこの売場にいると手つきも慣れたもので、百合香は手早く包装を終える。
百合香は柳瀬の方を見て、目で合図をした。


「お客様。お待たせいたしました。」


そう言って柳瀬は百合香から紙袋を受け取ってお客様に差し出した。


「ありがとう。先程のお勧めしてくださったペンも近いうちにまた頂きに参ろうかと思います。」


その40代位の女性のお客様は笑顔でそう言った。


「またお待ちしております」


柳瀬は深々と礼をすると、その女性が、

「またあなたについて頂きたいわ」

と言ってエレベーターに消えた行った。


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