強引な次期社長の熱烈プロポーズ
(智さんは呆れているだろう。反応が怖くて何も言えない。なんだかもう、拍子抜けで涙出そう。)


「バカ」


柳瀬は一言言って、百合香のほっぺをつねった。

「だってっ…」

百合香は安堵の気持ちからかぽろぽろとつねられてる頬に涙が溢れた。

もうどうしようない自分。だけど一度流れた涙がなかなか止まらなくて、余計に柳瀬を困らせてしまう。


「ちょっ…おい」
「…ひっ…」


そんな百合香を目の当たりにして、柳瀬が動揺する。そして行き交う人の視線を感じはじめた為に、ビルとビルの路地に百合香を連れ込んだ。


「う、うぅ~…」


「どうして気になるなら聞かなかった?」
「こ、怖…くてっ」
「俺が怒ると思ったの?」
「ちが…聞いてしまったら、智さ…が、離れて行っちゃうかと…」


肩を上げて嗚咽混じりで必死に涙を堪えようとする百合香を柳瀬は抱き締めた。


「つくづく信用されてないな」

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