強引な次期社長の熱烈プロポーズ

柳瀬の胸に顔を埋めてた百合香は慌てて首を振る。


「違っ…」
「違うの？」
「すっ、好きすぎて…何も見えなくなっちゃう…」
「······狡いね」


柳瀬の指が百合香の涙を掬う。勇気を出して顔を見てみると、怒った顔も、呆れた顔もしていない。
百合香を見つめる漆黒の瞳が、ただただ優しく光っている。

「説教のひとつでも、って思ってたってその顔で好きだと言われたら何も言えなくなるだろう？」

「ごめんなさいっ」

百合香は柳瀬に抱きついた。
柳瀬はそれに驚くも、すぐに受け入れ抱き締め返す。

「いいよ。俺だけみてたんだろ」

百合香は黙って頷き顔を上げる。
そして二人が視線を合わせた時にどちらからともなくゆっくりと近づきキスをする。